本好きのあらすじ解説&感想ブログ

主にビジネス書や小説、教育関係の専門書を読みます。その中でも面白い、良いと思ったらものをゆる〜く紹介します。

理系が得意な子に育てるために大切な4つのポイント

はじめに

 

算数が苦手な子を無くすために

日頃、算数の授業をしていて「算数の苦手な子をなんとかしたい!でも・・・うまくいかない。」と感じることばかりです。

「苦手な子をなんとかしたい!」そう思ってこの本を手に取りました。今回はこの本を通して分かった、算数が得意になるポイントを4つ紹介します。

 

 

アメリカからも注目されている筆者とRISU

筆者の今木智流さんは、RISUと言う通信教育を行う会社を立ち上げた方です。

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RISUは独自のカリキュラムを作成し、タブレットを使って算数の学習を進めます。子どもが「どこでつまづきやすいのか」「どこが得意なのか」などのデータを蓄積させ、10億件以上のデータがあるといわれています。

 

また、その10億件以上のデータを元にして、子ども一人一人のレベルに合わせた問題や解説を提供するのが特徴です。 

 

RISUの成果は目覚しく、アメリカのシリコンバレーやAIに関わる学校から受講の依頼が続出しているそうです。

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ポイント①まずは宿題をやめて、子供のやる気を尊重しよう!

 

宿題をやっても、成績が伸びない

1994年と1999年に、レテンドルとベーカーという大学教授が宿題に関する調査を行いました。小学生から高校生までの調査した結果、宿題の量と学力は関係がないことが分かりました。

特に幼児や小学生など、発達段階初期の子どもは、中学生や高校生に比べて、宿題の効果がより薄いことが分かっています。

このことから、無理に家庭でプリントや問題集をやらせたり、学校から出た宿題をやることに効果があまり無いことが分かります。

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やる気をそがない家庭学習を

「じゃあ宿題をやっても意味がないのでは?」そう思う方もいるでしょう。ですが、別の研究では「基礎的、基本的な物には効果がある。」というデータがあります。

具体的に言うと漢字や簡単な計算問題です。要は子どもに負担のない、子どもが自分の力だけでサクサク取り組めるものは効果的ということです。

まずは、子どものやる気を尊重し、無理な量の課題を与えたり、難しい問題を1人で解かせようとしたりしないことが大切です。

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ポイント②苦手は無くならないことを知る

 

テストが70点でも算数が苦手な子は大勢いる

筆者は、算数は誰でも100点が取れる教科だと述べています。言い換えると、テストで70点しか取れない子は、その単元の内容を本質的に理解していないと言うことです。

そのため、子どもがテストで70点をとった際に、保護者は「7割あるからまあいいか。」と考えず「あまり理解できていないんじゃないか?」と考えるべきです。

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苦手を無くそうとすると、勉強は嫌になる

筆者は子どものやる気が重要であると述べています。子どもは大人と違って、楽しくないものや苦手なものに対して、やる気にはなりません。

無理に苦手を克服させようとすると、やる気がますます無くなり、勉強が嫌になってしまいます。

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できないことよりも、できたことに目を向けて褒めよう

とはいえ、子どもですからできないことが多いですよね。利口な頭のいい子ならともかく、勉強が出来なかったり、不器用な子は「このままで大丈夫なのか?」そう思える時もあります。

そんな時はできないことには一切目を向けず、できることを探しましょう。なぜなら、子どもは褒められると伸びますし、叱られればやる気がなくなるからです。

「なんでこんなにできないんだろう。」そう思う気持ちをグッとこらえて「今日は何個できることが増えるかな?1個でも増えるといいな。」そんな目線で子どもが見れるといいですね。

 

ポイント③男子と女子で接し方を変えよう

 

「算数は男子が得意で女子は苦手」は間違い

算数は男子が得意で、女子は苦手と言われることがあります。ですが、筆者が10億件のデータから調べたところ、男女で得点差はほぼありませんでした。

ただし、女子は計算が得意で、男子は図形の問題が得意という傾向はあり、分野によって得点差はあるそうです。

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男子はスピード、女子はコツコツ

授業中の様子を見ていて思うのは、男子はとにかくスピードが速く、女子はコツコツと確実であるということです。筆者もデータから同じことが言えると言っていました。

特に図形の問題は速度差が顕著に現れるそうです。男の子は図形を見た瞬間に解き出すが、女の子はじーっと見てから、ゆっくり考えだすことが多いそうです。

そこで、保護者の方はゆっくり解く女の子を見て「算数が苦手なんだ。」と思って声をかけるのはやめましょう。

なぜなら、「時間がかかる=苦手」という間違った認識をしてしまい、算数嫌いに近づいてしまいます。

女の子はじっと待って、きちんとできたことを褒めることで自信をつけるのです。

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ポイント④子どもの苦手な分野ワースト3を知る

筆者が10億件のデータから導き出した、子どもがつまづくワースト3の分野を紹介します。中身を見ると意外や意外、2年生の内容ばかりなんですね。

実は算数のつまづきは2年生で大きく始まります。この3つの単元を学習している際は、じっくり・ゆっくり教えていく必要がありますね。

1位「2〜3桁の位の理解」

10の位や100の位は今思うと簡単ですが、お金や容積の知らない子どもからしたら未知の領域です。お金や容積の具体物(現金や水など)を用いて概念作りをじっくりする必要がありますね。

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2位「図形の組み立て、立体の基礎」

立体に関する基本的な学習です。面や線、点などの概念を実物を使って確認する必要があります。

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3位「単位、目盛りの使い方」

単位は重さ長さ容積とたくさん存在します。普段子どもたちは使うわけではないため、概念が曖昧です。定規やます、重量計などを使ってたくさんの単位や目盛りに触れることが大切ですね。

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終わりに

 

理系の人材が必要不可欠の時代となった

現在日本だけでなく、世界でも活躍している企業はIT企業ばかりです。プログラミングやAIなど、理系の知識や思考力が必要不可欠となりました。しかし、日本の大学の中で理系の大学はそう多くはありません。そのため、理系の人材不足が明白です。これからの未来には理系のできる子ども達が必要不可欠だと筆者は述べています。

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将来、理系と文系の境目はなくなる

理系の人材が必要不可欠になったとはいえ、理系の職員(エンジニアや研究者)だけでは会社は成り立ちません。そこで必要となってくるのが、エンジニアや研究者をまとめたり、サポートをする立場の職員(文系の人材)です。そのため、文系の学生でも理系の知識があれば理系の職員とよりレベルの高いコミュニケーションが取れて、より効率よく働くことができるのです。

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考える力は算数で身につく。国語で表現力が身につく。

最後は自分の持論ですが、物事を考える基本は算数で身につくと思います。そして、構成した考えを適切な言葉で表現する力を身につけるのが国語だと思います。そのため、この2つの教科は学習の中で1番大切にしなければなりません。子どものやる気を保ちながら、なおかつ考える、表現する力を身につけさせるように教えたいなと思いました。

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