学校の見方が180度変わる。桜丘中学校6個の改革
「服装の決まりが無い」
「定期テストが無い」
「机はきれいに並べない」
「登校する時間が無い」
「宿題が無い」
そんな学校があったらどう思いますか?
生徒として学校に通ってみたいですか?
先生として働いてみたいですか?
今日は、そんな型破りな校風の世田谷区立桜丘中学校について話したいと思います。
参考図書はこちら⬇︎
校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール: 定期テストも制服も、いじめも不登校もない!笑顔あふれる学び舎はこうしてつくられた
- 作者:孝彦, 西郷
- 発売日: 2019/11/11
- メディア: 単行本
目次
①服装に関する校則を廃止!
桜丘中学校には、服装に関する決まりがありません。というか、西郷先生が、少しずつ校則にある矛盾を問題に挙げ、話し合いにより廃止しました。
白い靴下を廃止
白い靴下でないとなぜいけないのか?疑問に思った西郷先生は、生活指導主任に聞きました。
生活指導主任は「白の靴下は、汚れがすぐに分かり、清潔だからです。」と答えました。
西郷先生は、汚れやすい医療現場では、紺色やえんじ色の白衣が増えてることを知っていました。学校生活では汚れることが多いです。そのため、白色の靴下を履くという校則を廃止しました。
紺色セーターを廃止
セーターの色は紺色とする。これは、靴下の決まりと矛盾しています。西郷先生は、なぜ紺色なのかと聞きました。生活指導主任は「派手にならないようにするためです。」と答えました。
西郷先生は、白色は派手な色ではないと考えました。さらに、黒色ですら校則違反だとして、指導をしている先生がいることを知りました。この後、段階を踏んでセーターの色は自由となりました。
中学生らしい服装の見直し
紺色セーター廃止がされた後、黄色のセーターを着てくる子がいたそうです。生活指導主任はすかさず「派手な色はダメだ。」と指導しました。
西郷先生は「派手」という言葉に引っかかるものを覚えたそうです。そして「何で派手じゃいけないの?」と聞くと、生活指導主任は「中学生らしくないからです。」と答えました。
西郷先生は「らしい」という言葉が好きではありません。今度は「派手って何?」「中学生らしいって何?」と聞くと、生活指導主任は答えることができませんでした。
中学生らしい=地味な中学生と先生は捉えがちです。西郷先生は、派手な服を着たいのも中学生らしさであると考えました。
このエピソードを読んで、改めて常識を見直す大切さを感じました。
②定期テスト廃止!
定期テストは自己肯定感を下げる
定期テストは中間なら5科、期末なら9科の予習をしなければなりません。自分の将来がかかっており、大きなプレッシャーになります。
実際にテスト前には、不安で欠席する、不安定になる、帰ってきたテストを見て落ち込む、自信を無くす子などがたくさんいるそうです。
西郷先生は、このことから定期テストが子どもの自己肯定感を下げていると感じたそうです。
定期テストを無くしたら、学力向上したが…
子どもからの要望もあり、定期テストは廃止されました。その代わりに単元テストと実力テストが導入されました。
単元テストは、単元が終わる度にテストをすることです。また、参加自由の再テストも用意されており、良い点数だった方を成績に入れるシステムです。
子どもは短い範囲で度々テストを行います。良い点が取れなくても、再テストができる。だから、システムを変える前よりも勉強するようになったそうです。
「それでは全員の成績が上がってしまうのではないか?」そう思いましたが、西郷先生は、子ども全員の成績を上げることが教育であると言っています。
自分は、今までの常識に囚われ、何も考えずにABCをつけていたことを恥ずかしく思いました。
定期テストを無くせば、宿題も無くせる
単元テストが嵐のようにやってきます。頑張れば必ず結果が出るテストです。うっかり失敗してしまっても、再テストで挽回ができます。
明確で努力のしやすい目標があれば、子どもは常にやる気をもって自ら勉強するため、宿題はいりません。むしろ子どものやる気を削いでしまいます。西郷先生は宿題も廃止したのです。
③「机をきれいに並べなさい!」を廃止!
以前、桜丘中学校には、机がきれいに並んでいることに負担を感じる子どもがいたそうです。UD(ユニバーサルデザイン)を意識して、あえて机は整頓しません。
他にも工夫として、机や椅子の足にテニスボールをはめて、動かした時に音が出ないようにする。
前方の黒板や、その周りには掲示物を貼らないといった実践がありました。
④登校時間廃止!
皆さんは、遅刻して先生に叱られたことがありますか?
桜ヶ丘中学校では、決まった登校時間がありません。いつ登校しても良いんです。教室に入らないといけない訳でもありません。廊下にいすと机が置いてあるので、そこで過ごしたり、校長室に行ったりと自由です。
西郷先生は何らかの理由で学校に来れない子。理由もないのに学校に来れない子のために何が出来るかを考えました。
そこで、効果的だったのが登校時間の廃止だったそうです。真面目な子は、授業の時間にきちんと来ます。学校に来れない子は、なんとか廊下まで来て勉強する子が増えたそうです。
⑤授業は寝て良いぞ!
桜丘中学校では、授業中寝ている子を起こしません。昼寝をすることで、集中力が上がることを分かっているからです。
先生は必ず優しく見守り、起きるのを待ちます。桜丘中学校は都内の学校で、成績が悪いなんてことはありません。つまり、ちゃんとした目的があれば授業中寝ていても問題はないのです。
⑥校長室には、スマホ充電器コーナーを
桜丘中学校では、スマホやタブレットの持ち込みが許可されています。読字障害の児童がきっかけとなり、持ち込みが許可されるようになりました。
学習にタブレット端末が必要だった生徒が、気兼ねなく使えるように全員に使用を許可したそうです。
西郷先生は、子供と接点をもつために、充電機コーナーを作りました。充電中は他愛もない話をしながら、楽しく過ごすそうです。
まとめ
豪快な改革をする西郷先生は、子供一人一人の声を親切に聞いて、子供の願いを叶えてきました。
やっていることは大胆ですが、本質的には普通の先生とやっていることは変わりません。
シンプルにやるべきことを考えて、やると決めたら覚悟をもって実行する大切さ。それを心から学ばせてもらったと思います。
最後に、桜丘中学校に一つだけ存在するルール「桜丘中学校3つの心得」を紹介します。それは「礼儀を大切にする」「出会いを大切にする」「自分を大切にする」です。
皆さんは3つの心得をどう思いますか。自分は、抽象的だなと思いました。それと同時に、心得を守るためには、責任をもたなければならないと思いました。
人間は校則が細かく決まっていたら「守ってるからいいや。」と考えます。例えば、身だしなみについての決まりが、細かい学校があるとします。その学校の児童は「校則さえ守れば良い。」と考えて、校則を守る意味を考えなくなります。
一方で、桜丘中学校の児童だったらどうでしょうか。礼儀を大切にするとは?出会いを大切にするとは?自分を大切にするとは?など、考えなければならないことばかりです。
いい加減なことをしていたら、「3つの心得は守れているのか?」と聞かれるでしょう。
そうなると、子どもは3つの心得をどう解釈して行動したのかを説明しなければなりません。子どもたちはだんだん考えて行動するようになると思います。
3つの心得の話を読んだ時、日頃から子どもに細かいところまで注意していた自分が恥ずかしくなりました。
これからは、子どもに責任をもってもらうために、最低限の決まりで子どもたちに考えさせる指導をしたいと思います。
他にも様々な実践と改革があります。ぜひ読んでみてください。
校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール: 定期テストも制服も、いじめも不登校もない!笑顔あふれる学び舎はこうしてつくられた
- 作者:孝彦, 西郷
- 発売日: 2019/11/11
- メディア: 単行本
ここまで読んでいただきありがとうございました。